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2017年5月25日木曜日

5/22 河原井さん・根津さんの08年「君が代」不起立裁判 東京地裁不当判決

5/22 河原井さん・根津さんの08年「君が代」不起立裁判の東京地裁判決がありました。全く不当な判決でした。渡部さんの報告です。

5月22日(月)の東京地裁判決



07年「君が代」不起立裁判は、2015年5月に東京高裁で、二人(河原井さん停職3か月、根津さん停職6ヶ月)がともに勝訴し、損害賠償も勝ち取りました。都教委は上告しましたが、最高裁が都教委の上告を棄却し(2016年5月)、確定しました。そこでは次のように述べられていました。

◆07年停職処分の最高裁判決
戒告から減給、減給から停職へと機械的に一律にその処分を加重していくとすると、教職員は、2、3年間不起立を繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまい、仮にその後にも不起立を繰り返すと、より長期間の停職処分を受け、ついには免職処分を受けることにならざるを得ない事態に至って、自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろうとする教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られることになり、そのような事態は、もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるもであり、相当ではないというべきである。

◆5.22 08年処分の地裁判決
★河原井さんの6ヶ月停職は取り消されましたが、根津さんの6ヶ月停職は取り消されず、
二人の損害賠償請求は棄却されました。
最高裁が都教委の上告を棄却し確定した07年高裁裁判を正面から踏みにじるような判決でした。
★報告会で弁護士は、「非常識・最悪の判決」、「2012年最高裁判決の前にもどるような判決」と述べていました。
2012年最高裁判決では、
・思想・良心の自由への<間接的制約>があることを認め、
・加重処分は原則認めないと言っていました。

しかし、今回の判決では、
根津さんが勤務中に、08年以前も以後も「OBJECTION HINOMARU KIMIGAYO」というトレーナーを着ていたことを問題にし、6ヶ月処分を認めました。
しかし、当時、少なからぬ教員が同じようなトレーナーを着ていました。また根津さん自身も08年以前も、以後も、着ていたにも関わらず、そのことを執拗に問題にしてきました。

★判決文には次のような下りがあります。
「本件職務命令は、憲法19条に反するものではないから、公立学校の教員として地方公務員であった原告らに対し、その式典に教員と言う立場で参加するに際して、式典における慣例上の儀礼的な所作として社会一般に広く認められている起立及び国歌斉唱(憲法がこれらの行為を禁止しているとは認められない。)を求めることは、何ら公務員としての憲法擁護義務に反するものではないというべきである。(48~49ページ)
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「本件トレーナー等着用行為を勤務時間中に行うことは、職務上の注意力のすべてを職務遂行のために用い職務にのみ従事すべき義務に違反し、職務に専念すべき学校内の規律秩序を乱すおそれがあるものであったといわなければならない。(59ページ)
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「原告らは、学習指導要領に沿って、教育課程の一つである特別活動たる卒業式を適正に実施するため本件各校長が発した本件職務命令に対し、地方公務員として職務命令に従う義務を負い、かつ、生徒の模範となるべき教員と言う立場にありながら、公然と職務命令に違反した。その違反行為は児童・生徒、保護者その他の学校関係者の面前で行われたものであって、教員の職の信用を傷つける行為に該当するものというべきである。(60ページ)

★これでは、教員は「公務員」と「職務専念義務」の名の下、政権が決めた考え方ややり方に対しては、一切反対の意思を表明してはならないということである。(判決文では学校外や休みのときは例外、などとしているが、根津さんが停職中に抗議活動をしていたことも理由に挙げている。)
報告会である参加者は、「公務員は奴隷か!」と言っていたがまさにその通りである。

★前の方で紹介した97年裁判の高裁判決では、「公務員」に関
 「もともとその者が地方公務員としての教職員という地位を自ら選択したものであることを考慮しても、日本国憲法が保障している個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるもであり、相当ではないというべきである。」
しては次のように述べられていた。
いかに今回の判決が反動判決であるかがわかる。
まさに戦前の「聖職教師(国定教師)」「洗脳教育」の復活である。
私たちは、このような、一回その正体が暴かれているような、
復活を断じて許すわけにはいかない。
そのために、これからも声を上げ続け、闘い続ける。