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2017年3月15日水曜日

3/9 都教委定例会ではなく都総合教育会議 根津公子さんの傍聴記

根津さん「3/9は都教委定例会ではなく同日開催された第3回東京都総合教育会議傍聴記です。

前回2月24日の定例会で担当者が「次回は3月9日午前10時」と通告した。ところがその後、総合教育会議を午前中に入れ、定例会は午後に繰り下げた。この変更について「総合教育会議及び定例会の冒頭、教育長は然るべき説明をするよう、言ってほしい」と私は要求したが、「2日前にネット上に訂正を載せている」と言う。「インターネットが使えない環境にいる者には、傍聴の権利を保障しないということか。傍聴者に毎回、住所・氏名を書かせるのは何のためなのか。傍聴者は数人なのだから、その住所に変更のお知らせを送るくらいの気遣いがあって当然ではないか」と言うと、担当者はぶち切れた。「都民ファースト」ではなく、いつも「都ファースト」。
私は、午後はすでに予定を入れてしまっていたので、都教委定例会は傍聴できず、総合教育会議(10:30~12:00)だけを傍聴した。













職階制、賃金査定、都教委の学校支配の弊害を考えるとき

■議題は1件、「教育管理職の確保について」

 管理職、とりわけ副校長の受験希望者が極端に少なく、受験者を増やすための対策を講じなければならないところに都教委が追い込まれての議題であった。「教育管理職を取り巻く現状と課題」について中井教育長が資料をもとに説明し、その後、参考人として呼ばれた都内公立小・中学校の校長・副校長・教員、男女各1名ずつ計6名の意見を聞くというものだった。
 傍聴して感じたことは、これでは受験希望者は増えない、ということ。6人の教員たちは、都教委の教育施策に批判的な人ではないから抜本的解決には至らない話ばかり。管理職受験希望者だけでなく、新採の受験希望者も非常に少ないのは、都教委の教育施策に批判が多いということ。まずはその批判から学ぶことが、都教委にとって必要なことと私は思うのだが。
 私は、管理職は不要と考えるから、管理職の確保に関心はない。でも、都教委が確保をしたいのならば、ピラミッド組織を止め、都教委が嫌う「鍋蓋」組織に戻すことだ。都教委の指示を受けた管理職がその実行を職員に指示するという上意下達の働かされ方を止め、かつてのように、職員会議で論議し学び合いながら協働する組織に変えること、それが、教員がいきいきと働き、子どもが楽しいと思える学校になるのだ。職階制、賃金査定、都教委の学校支配の弊害を都教委が考えるときなのだ。

■「教育管理職を取り巻く現状と課題」についての説明より
1.教育管理職(校長・副校長)選考の状況
2016年度は、①必要数572人 ②受験者数450人(うち女性は125人) ③合格者数418人(116人) ④不足数=①-③=527-418=154人
不足については、定年退職した再任用校長・副校長で対応していて、現段階では欠員は発生していない。 
2.2017年度の新たな取組
①副校長の多忙解消に向けて、副校長の業務を担う非常勤職員を配置する。2017年度は、1900校のうち小学校6校、中学校6校で試行実施。
②受験できるのはこれまでは主幹教諭だけだったが、これに加え、46歳~53歳の主任教諭まで拡大するよう制度を改正する。これにより、受験有資格者が、これまでの3倍、女性ではこれまでの5倍になる。
③副校長の管理職手当の引き上げ:現行の月72300円を80700円に。校長は現行の月104500円。(中井教育長は「80700円、これで(受験希望者増を」期待するのは無理かと思うが」と付け足した)

■6人の発言
★副校長:土、日も部活をやっている職員がいるから出勤する。地域の行事にも参加する。1日に12~13時間は勤務する。それが教職員には大変に見えるのか。
★校長:声をかけられ、研修センターに通ったことで副校長になった。副校長は女性に向いた仕事だが、子どもの病気のときに困った。
★副校長:多忙解消は、他の人に仕事を振れるかどうかだ。4割位の仕事は振れる。副校長の仕事を経験した人にサポートしてもらえたらありがたい。
★校長:副校長の仕事は我々には到底できないと、教員は思ってしまう。自信が持てないのだ。
★校長:管理職受験を職員に勧めるが、職員は「自信がない」「子どもと関わりたい」「時間が厳しい」と言う。
★副校長:管理職になると子どもから離れるイメージがあるから、私は休み時間は子どもと遊んでいる。
★10年目の教員:研修会に参加して自信が持てるようになったので、管理職になりたいと思っている。
★9年目の教員:子育て・介護で今でも大変だが、管理職の先生が輝いていると、私も管理職になりたいと思うようになる。
★校長:輝くようにしたい。疲れていても化粧して、職員にアドバイスができたり、本来の業務で力を発揮する。業務改善が必要。
★校長:自分がしっかりしたロールモデルにならないと。事務量を軽減し、校長が副校長を育てる。
6人の話を聞いて教育委員たちは、副校長の業務の見直し、女性が働きやすい働き方改革が必要とまとめた。

■職階制の破綻ではないのか

「教諭→主任教諭→主幹教諭・指導教諭→副校長→校長」の職階制を敷き、このコースに乗るための研修体制も整えたが、管理職受験希望者数はこれに反比例したという現実。職階制が破綻したのだ。冒頭に述べた、都教委が嫌う「鍋蓋式学校運営」に戻すことが、この解決につながる。
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小池知事は、10年前にうつ病になり自殺した西東京市の新任教員の自殺訴訟で、業務が原因の公務災害だと認めた東京高裁判決を受け入れ、上告しないことをこの場で話した(今朝の東京新聞はそれを報じている)。この判断は当然ではあるが、都教委のこれまでと比較して評価する。
しかし、新任教員に対して、指導教員が補佐しない・いじめる、校長がパワハラを繰り返し退職に追い込むという現実が相当数あること、それは職階制、業績評価による賃金査定、都教委の学校支配が始まってからの現象であることを、都教委・都知事は認識すべきである。