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2016年2月16日火曜日

2/13 恒例の都教委包囲ネット「総決起集会」開催

 2月13日(土)、午後6時30分より、東京・セシオン杉並で、都教委包囲・首都圏ネット主催の『2・13総決起集会』が開かれました。
1.23通達による「君が代」不起立処分以降、12回目の「総決起集会」になります。100人が参加。率直に言って、今までで一番少ない参加者でしたが、新しい人の参加や発言もあり、また、「卒業式」での不起立をめぐる教職員と校長・都教委との緊張した闘いの報告もあり、有意義な集会となりました。
集会は大内裕和さんの講演から始まりました。
















■集会では大内裕和さん(中京大学教授)が
「安保法制と教育」というテーマで講演してくれました。


講演は以下のような骨組みで行われました。
 1、安保法制問題
 2、新自由主義グローバリズム
 3、「格差と貧困」の深まり・反貧困運動・政権交代の挫折
 4、近年の社会運動
 5、21世紀の資本主義と対抗運動


以下、内容を項目ごとに簡単に紹介しますが、この内容は、単に第三者的な論評というものではなく、働く人民大衆(特に学生・若者)の立場から現状を分析し、かつ実践的な行動をも提起したものだと思います。どうぞゆっくりお読みください。

<1、安保法制問題>では、
冷戦終結後のグローバル市場の成立の中、 アメリカの経済力は逆に減退し、日本に軍事分担を求めるようになり、日米共同軍事行動体制が整備されてきた。
その結果、専守防衛体制が決壊した。その過程で安倍政権にみられるように極右政治家による支配が完成し、野党も野党でなくなり、政治は戦前の大政翼賛会化してきた。
しかし、2015年の反安保法制運動は大きな力を発揮し、現在の「2000万人統一署名運動」、「野党は共闘の運動」、「辺野古基地建設反対運動」などは、今後の安保法制・9条改憲の行方を左右するだろう。
などのことが述べられました。

<2、新自由主義グローバリズム>では、
1970年代のドルショック・石油ショック以降、高度経済成長は行き詰まり、新自由主義が登場し、労働運動の右翼的再編が行われ、55年体制から自民と民主の二大保守政党体制になった。
1995年には日経連の「新時代の日本的経営」が出され、労働力の差別化を図り、「雇用柔軟型」という名で、大量の非正規労働者を生み出してきた。(若年層のほぼ半数が、年収300万円以下)
そうした中、自由主義史観が登場、2003年には東京で「10・23通達」が出され、2006年には「教育基本法」が改悪され、<愛国心>と<格差社会化>の秩序が形成されてきた。
などのことが述べられました。

<3、「格差と貧困」の深まり・反貧困運動・政権交代の挫折>では、
2005~2006年頃に「格差と貧困」問題が浮上し、2008年には<派遣切り>→<年越し派遣村>という動きがみられた。
自民党に対する批判が強まり、2009年には民主党による政権交代が起きた。
しかし、<沖縄米軍基地問題>、<3・11東日本大震災>、<消費増税>などの問題で信頼を失い、2012年には自民党が復権し、しかも極右の安倍第二次政権が誕生してしまった。などのことが述べられました。

<4、近年の社会運動>では、
「ブラック企業」(自由主義経済の行き着く先)問題が浮上、大内さんが「ブラックバイト」を提唱したところ、その言葉が定着した。
<正規雇用の減少>と<非正規雇用の増加>により、現在ではむしろ<非正規雇用>は「補助」労働ではなく、「基幹」労働に移行している。(これは重要な指摘だと思います)
「ブラックバイト」を強いられている学生たちを支援するために、無料冊子『ブラックバイト対策マニュアル』を完成(2014年7月)させ、『ブラックバイトユニオン』(2014年8月)、
 『ブラックバイト対策弁護団あいち』も結成、リーフレット『あなたのバイト、ブラックバイトではありませんか!?』も作成した。さらに、
学生たちが「ブラックバイト」に追い込まれる背景には、深刻な「奨学金問題」がある。
 (これについてはメール(57)(1月30日)で紹介しました)
だから、「奨学金制度改善に向けての運動」にも取り組んでおり、2013年3月には『奨学金問題対策全国会議』
 を立ち上げた。また、2015年秋からは、労働者福祉中央協議会が
 『給付型奨学金制度の導入・拡充と教育負担の軽減を求める署名』を
 開始し、すでに219万筆あつまり、3月下旬には首相官邸に届ける予定だ。
などのことが述べられました。

<5、21世紀の資本主義と対抗運動>では、
この間、世界的規模で格差拡大が進み、先進国における中間層解体が顕著になってきている。圧倒的多数の中間層が没落し資本主義の死期が近づいているともいえる。
 一方、資本主義の矛盾はファシズムに転化しつつある。
そうした中での2016年通常国会では、「安保法制廃止運動」では弱く、「安倍政権打倒」を掲げるべきだ。そのために、
 ・「反戦平和と立憲主義解体への批判」
 ・新自由主義グローバリズムによって深刻化する貧困化への批判が重要である。
また、急増する非正規雇用労働者を組織化することで、新たな労働運動の発展が求められている。「日本社会における左派の再生」が求められている。
などのことが述べられました。
「理論と実践の統一」という言葉にふさわしいものだったと思います。

■教育現場からの報告





















★「君が代」不起立をめぐる闘い」
・田中聡史さんからの報告
・卒業式に向けて進められつつある都教委と某高校校長によるK先生に対する「君が代」起立強要の実態(繰り返し繰り返し、転勤・評価・給与で脅したり、利益をちらつかせたりしいます。内容は露骨な思想弾圧です。いずれ歴史が彼らに審判を下す日が来る、K先生屈するな!むしろどんどん暴露して下さい!記録もしっかりとって。)
・採用拒否裁判の勝利報告

★小学校教員M先生による道徳教育批判(「道徳を教科として持ち込むこと自体が問題だ。」)

★共闘組織からの報告
・防災訓練にみられる自衛隊の宣伝活動(小学生が自衛隊車に乗るなど)
・共謀罪に反対する闘い
などが報告されました。

■卒業式他における高校チラシ撒きについて<行動提起>




















最後に<集会決議>を採択、<団結頑張ろう!>で集会を終えました。

2016年2月15日月曜日

2/12都教委定例会 根津公子の都教委傍聴記

2月12日(金)、都教委の定例会がありました。多くの反対を押し切り、夜間定時制高校4校の廃止が決まってしまいました。



■定時制高校の存続を求める請願を不採択

議案は「都立高校改革推進計画・新実施計画」の策定について 請願に対する回答について ③「東京都発達障害教育推進計画」の策定について 報告が学校設定教科「人間と社会」の設置及び使用教科書について ⑤「不登校・中途退学対策検討委員会報告書」について ⑥「東京都教育ビジョン(第3次)一部改訂(案)」の骨子について他。
 傍聴席20のところ、請願を出していた人たちが傍聴に来られたので、傍聴希望者は35名。モニターさえ用意すれば傍聴から外れた15人も他の部屋で聴くことができるのに、その要求を都教委は無視した。大杉教育委員の姿はなかった。

①「都立高校改革推進計画・新実施計画」の策定について 請願に対する回答について
 「都立高校改革推進計画・新実施計画」の策定については、今年度までの取り組みと前回までの定例会で議題になった新たな計画を加え、2016年度から3年間の「計画」(案)――教育内容が52項目、学校設置・課程改善等が17項目、教育諸条件が32項目の取り組み――が分厚い冊子で提案された。

中略

新たな取り組みとしていくつか挙げれば、教育内容では、ア.基礎学力の定着が十分でない生徒に対して、放課後や休業日等に外部人材を活用して学習支援を行う「校内寺子屋」を10校に設置する イ.ICT(情報通信技術)パイロット校に光丘高校、三鷹中等教育学校を指定し、タブレットPCを使って授業改善を図り、生徒の主体的で能動的な学習により学力向上を目指す ウ.「理数アカデミー」(以下略)

テ.夜間定時制課程(定時制高校)の一部閉課程(対象は立川高校、小山台高校、雪谷高校、江北高校)については、存続を求める請願が9件出されていて、議案となったが、事務方の「回答」に教育委員全員が同意して、不採択となった。「回答」は、定時制を希望する生徒は減り新たな取り組みとしていくつか挙げれば、教育内容では、ア.基礎学力の定着が十分でない生徒に対して、放課後や休業日等に外部人材を活用して学習支援を行う「校内寺子屋」を10校に設置する イ.ICT(情報通信技術)パイロット校に光丘高校、三鷹中等教育学校を指定し、タブレットPCを使って授業改善を図り、生徒の主体的で能動的な学習により学力向上を目指す ウ.「理数アカデミー」(、昨年度の入学者選抜応募倍率はわずか0,42倍。夜間定時制高校の生徒の中には、昼夜間定時制高校やチャレンジスクールを希望していたものの、合格できなかったという生徒も多いのだから、昼夜間定時制高校とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行う。・・・

全文 レイバーネットに掲載
 ↓
http://www.labornetjp.org/news/2016/0212nezu

2016年2月1日月曜日

アベノミクスの行き詰まりと大内裕和さんの奨学金問題の講演

■渡部さんの見解と報告です。

★アベノミクスの行き詰まりが表面化してきました。一つは、甘利明・経済再生相が政治とカネの問題で1月28日辞任に追い込まれたことです。
甘利氏はアベノミクスの「司令塔」「屋台骨」と言われ、TPP合意のの推進役でもありました。その責任者が突然降りたのです。
もう一つは、日銀が1月29日、史上初のマイナス金利政策を取らざるを得なくなったことです。
これらのことはアベノミクスの行き詰まりを典型的に表すものだと言えます。

★ここでは、マイナス金利について少し触れます。
銀行は本来、預金金利・貸出金利の<利ざや>で儲けます。しかし、今回は<逆利ざや>になってしまったのです。
そもそも、経済は基本的には生産活動により維持されており、そこから生まれてくる利潤(剰余価値)が、<企業利益・銀行利子・株の配当・地代など>に振り分けられていきます。利潤(剰余価値)が多ければどれも潤うでしょう。しかし利潤が少なくなればその反対です。そして、<企業利潤・銀行利子・株の配当・地代など>はお互いに反比例の関係にありますから、利潤が少ない中でも、今回のように日銀がマイナス金利を取れば株は多少あがります。

★しかし、中央銀行がマイナス金利を取らざるを得なくなったということは生産活動から生み出される利潤(剰余価値)が頭打ちになっていることを示しています。つまり、拡大再生産ができなくなっていることを示しているのです。
これは株価上昇と円安を第一に置いたような、アベノミクスの行き着いた先だったとも言えます。
マイナス金利になれば、円にたいする信用は落ちますので、さらに円安が進むでしょう。
そうすると、輸出産業には有利かもしれませんが、これまで安かった輸入品が値上がりしてきます。開国後の幕末と同じようなインフレにならないとも限りません。
それを見越してか、黒田日銀総裁は物価の2%上昇に向けて突っ走っているようです。
ところで、「拡大再生産ができなくなってきている」ことについて、別の観点から少し述べたいと思います。

■1/28 大内裕和さん(中京大学教授)の集会 その衝撃的内容




















★1月28日、「板橋のつどい2016」集会に参加しました。
そこでは中京大学教授の大内裕和さんが、<ブラックバイトと奨学金>というテーマで講演しました。大学生が苦しんでいる「奨学金」借金問題です。

現在の大学生たちの52.5%は奨学金をもらい、2012年度では、無利子奨学金38万人、有利子奨学金96万人(計134万人)(もちろん無利子希望者が多いのですが、2009年には希望者の78%が不採用ということです。つまり多くの学生は否応なく有利子奨学金を借りざるを得なくなっているのです。背景には授業料の高騰があります。)
その結果、大学を卒業するまでに、莫大な借金を背負うことになるのです。
たとえば、有利子奨学金を毎月10万円借りれば、4年後の卒業時には480万円になります。貸与利率上限3.0%で返済総額は645万9510円になります。月賦返済額は2万6914円、返還年数20年で、すぐに払い始めても終わるのは43歳です。しかも延滞金は年利10%という高利です。(大学院などまで行けば1000万もの借金を背負うことになります)
2010年度末で民間銀行の貸付残高は大体1兆円で、年間の利払い収入は23億円です。
未返済のとりたてのために、債権回収会社などに委託し手数料を払っています。ここまで来れば、奨学金はまさに「金融事業」であり、「貧困ビジネス」です。
したがって、現在の学生・若者は非常に大変な状況に追い込まれ、結婚・出産どころではありません。若者の約半数がそのような状況に追い込まれつつあるのです。

★生産活動には労働力の再生産が欠かせません。生産活動の伸びている国は人口も伸びます。しかし生産活動の停滞・後退している国は人口の伸びも停滞・後退します。
日本の出生数は1973年の209万人をピークに下がり続け、2013年には103万人となっています。
大内さんは、「日本社会は労働力の再生産もできない深刻な社会になってきている」と言っていました。
まさに日本は拡大再生産どころではない社会になってきていると言えます。
そうした行き詰まりが、今回の甘利経済再生相の辞任や日銀のマイナス金利になって現れたのだと思います。アベノミクスに大きな影がさし始めたと言えるでしょう。

「十六夜はわづかに闇の初め哉」(芭蕉)です。

なお、大内裕和さんは「2・13総決起集会」でも<安保法制と教育>というテーマで話されます。

1/28 都教委定例会傍聴記 根津公子さん


1月28日(木)はいつものように都庁前でチラシをまき、その後、都教委定例会を傍聴しました。
その報告として、チラシを掲載します。
 http://kaikosasenaikai.cocolog-nifty.com/

■定例会について



定例会の開始時刻は、前回の定例会で「1月28日午前10時」と告げられていたところ、都教委HPに「9時15分」と変更の告示。予定を変えたなら、その理由説明をするのが常識・良識であろうに、今日も中井教育長はそれをしなかった。
開始時刻の変更の件では、ちょうど2年前に突然開始時刻を繰り上げて開始したことがあり、それ以降、HPに告示することにしたのだった。その日の定例会を傍聴したFさんがその理由説明を求めたところ、Fさんの行為は傍聴人規則に違反したとして、「(罪を認めたうえで)宣誓書を提出しなければ傍聴を許可しない」という仕打ちを受け続けてきたことは度々報告してきたところです。
今日もFさんは高い交通費を使って傍聴に来たのに、傍聴はできませんでした。

今日は5人の教育委員(教育長を入れて6人)のうち、木村、宮崎教育委員の姿がありませんでしたが、やはりそのことについても何の説明もありませんでした。1月14日の私の報告で、都教委から委嘱された教科用図書選定審議委員の同選定審議会への出席率の悪さ(2回目は20人中8名が欠席)を紹介しましたが、これらのことから見ると、都教委の面々には無責任体質及び特権意識がはびこっているのかと思わざるを得ません。

■夜間定時制高校廃止案に存続を求める意見と請願多数

 さて、議案・報告のうち、(1)「都立高校改革推進計画・新実施計画(案)」の骨子に対する意見等について (2)「平成27年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果について」 (3)「アクティブプランto2020」-総合的な子供の基礎体力向上方策(第3次推進計画)-について、報告します。
 報告を聞いての感想を一言でいえば、都教委が新たな企画をすればするほど子どもたちが差別分断され、競わされ疲れさせられる。都教委には何もしないでほしいということです。
以下略
全文
 ↓
http://www.labornetjp.org/news/2016/0128nezu