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2015年10月2日金曜日

9/29 文科省の副教材問題 <教員は中立 公正な立場で指導せよ>とは

9月29日、文部科学省と総務省が、来年の参院選から選挙年齢が18歳に引き下げられるのを前に、高校の<副教材>(104ページ)と<指導書>(96ページ)を作成したことを発表した。 渡部さんのコメントです。

◆<副教材>は国・公・私立高校の全学年向けに、年末まで約370万部を配布するという。 <指導書>は約20万部を予定し、巻末には「政治的中立性」への留意点として24ページにわたって関係法の規定などを列挙しているという。
そして、「教員は中立、公正な立場で指導する」「自分の考えを述べることは避ける」などといった対応を繰り返し求めているという。
これは明らかに、7月に出された自民党文部科学部会による「選挙権年齢の引下げに伴う学校教育の混乱を防ぐための提言」の具体化と言ってよい。
なぜならそこでは、「政治的中立性」が大きな問題になっており、教職員の政治活動を制限し、違反に罰則を科すための教育公務員特例法改正や、教職員組合の収支報告を義務化する地方公務員法改正についての記載もあるからである。

◆また、「提言」には「高校生の政治的活動は学校内外において基本的に抑制的であるべきだ」との見解も示されているからだ。
要するにこれらの一連のことは、教員の政治活動・政治教育に対する大幅な制限と高校生の政治活動に対する抑圧が大きな狙いである。
教員に関して言えば、それは何よりも「政治的中立性」という言葉によく現れている。
では、「政治的中立性」とは何か。これはきわめて曖昧な言葉である。
実際にはこの「政治的中立性」という言葉で、政府への批判を封じ込められてきたのが現場感覚である。
しかし、あえて「政治的中立性」と言うなら、その基準は「日本国憲法」であると言えるかも知れない。

◆そうすると、今回の「戦争法案」について教員は、
①ほとんどの憲法学者・弁護士、さらには元内閣法制局長官、元最高裁長官からも憲法違反と指摘され、
②各種の世論調査でも賛成より反対がはるかに上回る中で、
③手続き上も多くの問題を残しながら「騙し打ち的な強行採決」により成立するに至った法案である、
④このようなことを許しては憲法の三原則である「平和主義」「国民主権」「基本的人権」は守られなくなるだろう、と生徒たちに説明しなければならないだろう。これが本当の「政治的中立」というものである。

◆これは、たとえば沖縄の「辺野古新基地建設」にも「原発の再稼働」にも、同じように言えることだろう。
しかし、もしこのような説明が「政治的中立」の名のもとに許されず、さらに教員が刑罰を受けるようなことになれば、日本社会には違憲法案成立よる実質的なクーデターにより
独裁政権が生まれたとしかいえないだろう。
今や、日本の学校は、「民主教育」が死に絶え、全面的な「国家主義教育」に支配されるようになってきた。そして、この先に続くのは「軍国主義教育」である。

◆これを打破する道は、今回の戦争法案反対に対し、大・高・中の学生や生徒に混じって、
多くの教員たちも大胆に街頭に出て意思表示したように、教員たちは恐れることなく生徒たちに真実を語りかけることであろう。
最初は少数でも構わない。「歩く人が多くなれば、それが道になるの だ」(魯迅)