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2015年5月13日水曜日

5/11 河原井さんと根津さんの08年09年の「君が代」不起立処分裁判

◆5月11日(月)東京地裁で、河原井さんと根津さんの08年、09年の「君が代」不起立処分(ともに停職6ヶ月処分)に関する裁判がありました。渡部報告。
中身は前回口頭弁論での被告(都教委)主張に対する<反論その1>でした。

■都教委の主張に対する岩井弁護士の反論
主に以下の項目について、岩井弁護士からかいつまんでの紹介がなされました。
(1)憲法19条違反について
(2)教育の自由について(憲法23、26条、教育基本法16条違反
(3)損害賠償請求について

そのうち(1)については、特に、「日の丸・君が代」の歴史性について不問にしたまま、
 特定の形式での敬意の表明を、懲戒処分によって一律に強制することの問題」、「論争的主題である『日・君』に関し、一方的見解の教授を強制することの問題」
が指摘されました。

(2)については、都教委が教師は「職務権限」にもとづいて教育活動を行う、ということに対し、「最近の学説では『教師が国家権力と向き合う場面』では『職務権限としての側面と、人権としての側面を併せ持つ」という併存説が有力」と指摘されました。

(3)については、「最高裁判決でも「停職処分」は特段の配慮が必要とされている。
 慎重な配慮が必要なのになぜ出されたのか。都教委の機械的適用がその本質にある」
と指摘されました。

■裁判所に行く地下鉄の中で私は『フランス革命期の公教育論』(岩波文庫)の中の<公教育の全般的組織についての報告と法案>(コンドルセ、1792年4月20、21日)を読んでいました。そこには次のような部分がありました。

 「あらゆる教育の第一条件は真理のみを教えることにあるから、公権力が教育にあてる諸機関は、あらゆる政治的権威から可能なかぎり独立していなければならない。」(13ページ)

 「いかなる公権力も、新しい真理の展開を妨げたり、個々の政策や一時的な利害に反する理論の教育を妨げたりするほどの権威や影響力を持ってはならない。」(15ページ)

 「公権力が教育に適した書物を指定しなければならない。しかし科学全体が教えられねばならないリセ(高校:渡部注)では、教える方法の選択は教授に任せられる。
 そのことから、このうえなく貴重な利点が生じる。
 すなわち教育の堕落を完全に防ぐことができること、政治状況と結びついて、教科書が危険な学説に汚染された場合でも、リセでの自由な教育によってこの歪曲から生じる結果が防止されること、真理の表明が抑圧されるおそれがないこと、である。」(70ページ)
これらのことを読むと、教育基本法改悪後の日本の教育は、フランス革命以前に逆戻りしたのかと思わざるを得ません。なんと情けないことでしょうか。
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◆裁判終了後、都教委と、都立高校生の防災訓練を自衛隊駐屯地でやる問題について、質問と申し入れをする場に参加しました。

 この質問・申し入れは、パンフ『高校生をリクルートする自衛隊・自衛隊の手法を取り入れている教育行政』編集委員会のメンバーが行いました。
<都立高校の自衛隊施設での防災訓練等の自衛隊体験入隊に対しての質問>書の提出。

●都教委は、相変わらず教育情報課が出てきて話にならず。参加者(12人)から、こうした都教委のシステムに対する強い怒りが出されました。
「石原都知事の前にはこうしたシステムはなかった。すでに石原はやめているのだから、こうしたシステムもやめるべきだ。」との声も上がりました。

●質問項目の具体的な内容は省略しますが、要は、都教委は繰り返し「あくまでも防災訓練である」と言っていますが、防衛省は「隊内生活体験のことを向こう(教育庁)は防災訓練と言っている。うちは(地本)隊内生活体験だ」と述べているのです。
また、都教委の防災要項には「上級救命講習を受ける」と示されていますが、防衛省は、それは行っていず、また「防災訓練のプログラムはない」としています。

つまり、都教委のやっていることは、「防災訓練」に名を借りた、自衛隊での「隊内生活体験」(体験入隊)です。安倍首相が「軍隊」と言うなら「軍事訓練体験」に他なりません。

●昨年7月、集団的自衛権での武力行使が閣議決定で容認されました。この4月、日米ガイドラインが改定されました。こうして、今、全世界的規模で紛争地への自衛隊派遣がなされようとしています。こうした情勢下では、戦前のような「軍事教練」が、今後、高校生たちに実施される可能性は十分にあります。
ちなみに、千葉県の長生高校では、いわゆる15年戦争開始の年の1931年(「満州事変」勃発の年)に、「軍事教官排斥運動」ということが起きています(結局潰されましたが)。

●都教委は嘘に嘘を塗り固め、いつかきた道を歩み始めました。私たちは、こうした動きに対し、反対の大きな声を上げる必要があります。
次回(6月頃)は、もっと多くの参加者で都教委に迫る必要があると思います。また、「7月半ばには集会を開こう」ということになりました。