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2013年6月9日日曜日

6/7 東京「君が代」裁判・三次訴訟の口頭弁論 原告2人の証人尋問

■6月7日(金)、13時30分より、東京地裁103号法廷で、東京「君が代」裁判第3次訴訟の原告証人への尋問が行われました。前回の5月10日の裁判に続いて、今回も2人のへの尋問が行われました。近藤順一さんの報告です。

東京地裁前に集まる原告と傍聴者

◆証人尋問の内容
▼Yさん(キリスト者)
★原告側弁護士による主尋問(約1時間)では、キリスト者として、“一人の命・存在を大切にする”教育実践から不起立に及んだこと、“世の見張り人“として戦争への道を止めなければならないことが証言された。また、都教委の教育介入の実態について、教育内容を指定する“スタンダード基礎・応用・発展”を地理の「領土」を例に具体的に指摘した。
 最後に述べた次の言葉は法廷の空気を張りつめさせた。
「自分が今回告白したのは“この人たちが黙れば石が叫ぶだろう。”との決意で臨ん
だ、都教委の暴走をくい止めることを裁判所に望む。」

★都教委側の反対尋問
その主要なポイントは、キリスト者・曾野綾子は「君が代」を歌うのは国際人として当然だ、歌わないなら退場願いたいといっているが知っているかなどと的外れのことを尋問し、裁判官を含めて失笑をかった。また、大多数の教員は立って歌っているのに一人で座り孤立している。生徒や保護者に影響を与えたくてやったのかなど、尋問としても支離滅裂になり、「質問の形を変えて下さい」などと注意を受けた。 

▼Kさん(養護学校=特別支援学校)
★原告側弁護士による主尋問では、フロアー形式の卒業式と壇上式の卒業式の違い、障害児にとっての教育的効果などについての尋問がなされた。
Kさんは障がい者差別の現実を日々感じ、その差別は天皇制差別に通じると考え、歴史認識を意識しての不起立だったことを話した。また、「10.23通達」による式の変質、病室においてまでも「日の丸・君が代」が実施されたこと等を実体験を踏まえて語られた。

★反対尋問では、明治憲法での天皇と日本国憲法での天皇は違うということを言わせた
 がって、象徴天皇制に反対するか、国旗・国歌法に反対かなどという尋問をした。
 さらには、“壇上で卒業証書を受け取る方が、達成感を感じられないか。”との尋問
(愚問)には、失笑が広がった。
また、原告がいかに意図的に違法行為を行い、子供をはじめ式に影響を与えたかを繰り返しとりあげた。

二人の教員は、自然体で自己の教育観、教育実践について語り、従って都教委側をたじろがせこそすれ、堂々としていた。
(Yさんを反対尋問した都教委側代理人は、自分の尋問の底の浅さにうちひしがれて、Kさんの尋問中、放心状態に見えた)

◆近藤順一さんの総括
★反対尋問で都側が追及したこと
 都側代理人による反対尋問では特徴的なことが見られる。(傍聴メモより)
*壇上での不起立は生徒に見えたか。
*フロアでの不起立は生徒・保護者に見えたか。
*現憲法下の象徴天皇制に反対か。
*国旗・国歌法に反対か。
*ポールに日の丸が揚がるとき、背を向けたのは子供に日の丸・君が代反対の意思を伝えるメッセージのためか。
*不起立は大きな影響を与えたか。
*不起立は学習指導要領の国旗国歌条項に反することにならないか。
*不起立することは、国旗国歌を指導しないということにならないか。

★ここに見られる一つの特徴は、都側の狙いが、不起立者に対して「指導放棄」「子供の学習権侵害」、さらには「児童生徒に対する国旗国歌反対の押しつけ・扇動」というレッテルを印象づけようとしていることである。原告証言にもあるように“全教職員が起立すれば、生徒への強い圧力となる”こと、児童生徒へも実質的な強制となっていること、つまり学習権の重大な侵害にもかかわらず、それを転倒して描き、“不起立者が学習権を侵害している”とする。
 ここにおいて、一律起立・斉唱の強制は教員の教授の自由侵害と共に子供の学習権侵害であり、この強制下で公正な判断力・批判力を養う正しい教育実践は不起立・不斉唱・不伴奏である。併せて国旗国歌の学習指導の出発点である。総じて教育の自由侵害こそ焦点となる。対決点を鮮明にしなければならない。

▼裁判終了後、弁護士会館で報告集会